授乳・離乳の支援ガイド(2019年改訂版)

離乳の開始について

  • 離乳開始前の子どもにとって、最適な栄養源は母乳または育児用ミルクです。離乳の開始前に果汁やイオン飲料を与えることについては、栄養学的な意義は認められていません。
  • はちみつは乳児ボツリヌス症予防のため、1歳を過ぎるまで与えないようにします。
  • 離乳の開始とは、なめらかにすりつぶした状態の食物を始めて与えた時をいいます。その時期は5,6ヵ月頃が適当です。
  • 首のすわりが
    しっかりして
    いる

  • 5秒以上
    すわれる

  • 食物に
    興味を示す

  • スプーンなどを
    口にいれても
    舌で押し出すことが少なくなる

離乳の進行について

  • 離乳の開始後ほぼ1ヵ月は、離乳食は1日1回で、母乳または育児用ミルクは子どもが欲しがるだけ与えます。この時期は、離乳食を飲み込むこと舌ざわりや味に慣れることが目的です。
  • 離乳を開始して1ヵ月頃から、離乳食は1日2回に。母乳または育児用ミルクは離乳食後に与えます。離乳食とは別に母乳は子どもが欲しがるだけ、育児用ミルクは1日に3回程度与えましょう。生後9ヵ月頃から、離乳食は3回に。歯ぐきでつぶせる固さのものを与えます。
  • 食欲に応じて離乳食の量を増やし、離乳食の後に母乳または育児用ミルクを与えます。離乳食とは別に母乳は子どもが欲しがるだけ、育児用ミルクは1日に3回程度与えましょう。鉄の不足には十分配慮しましょう。

食べ方の目安

食べる意欲を育み、規則的な食事で生活リズムを整え、食べる楽しさを体験していくことを目標とします。

  • 離乳の開始では、子どもの様子を見ながら、1さじずつ始め、母乳や育児用ミルクは飲みたいだけ飲ませます。
  • 離乳が進むにつれ、1日2回食、3回食へと食事のリズムをつけ、生活リズムを整えていくようにします。
  • いろいろな食品の味や舌ざわりを楽しむ、手づかみ食べで自分で食べることを楽しむだけでなく、家族と一緒の食卓を囲むことで、食体験の中でコミュニケーションや思いやりの心を育みます。

食事の目安

食品の種類と組み合わせ

与える食品の種類は離乳の進行に応じて増やしていきましょう。離乳の進行に応じてベビーフードを利用することができます。

  • 離乳の開始のころは、アレルギーの心配の少ないおかゆから始めましょう。新しい食品を始める時は1さじずつ与え、乳児の様子をみながら量を増やしていきます。
  • 慣れてきたら、じゃがいもや野菜、果物、さらに慣れたら豆腐や白身魚など、種類を増やします。
  • 魚は白身魚から赤身魚、青皮魚へ、卵は卵黄(固ゆで)から全卵へ進めます。
  • 食べやすく調理した脂肪の少ない鶏肉、豆類、各種野菜、海草と種類を増やしていきます。
  • 脂肪の多い肉類は少し遅らせ、野菜類には緑黄色野菜を用います。ヨーグルト、塩分の少ないチーズも利用できます。
  • 生後9ヵ月以降は鉄分が不足しやすいので、赤身の魚や肉、レバーを取り入れ、調理用に使用する牛乳・乳製品のかわりに育児用ミルクを使用する等工夫します。

調理形態・調理方法

離乳の進行に応じて、食べやすく調理したものを与えます。子どもは細菌への抵抗力が弱いので、調理を行う際には衛生面に十分配慮しましょう。

  • 米がゆは乳児が口の中で押しつぶせるように十分に煮ます。はじめは「つぶしがゆ」とし、慣れてきたら粗つぶし、つぶさないままへと進め、軟飯へと移行します。
  • 野菜類やたんぱく質性食品などは、はじめはなめらかに調理し、徐々に粗くしていきます。
  • 調味については、離乳の開始頃は必要ありません。離乳の進行に応じて、それぞれの食品の味を生かしながら薄味にしましょう。

離乳の完了について

  • 離乳の完了とは、形のある食べ物をかみつぶすことができるようになり、エネルギーや栄養素の大部分が母乳や育児用ミルク以外の食べ物からとれるようになった状態をいいます。
  • その時期は生後12ヵ月~18ヵ月ごろです。食事は1日3回となり、その他に1日12回の間食を目安とします。
  • 離乳の完了は、母乳または育児用ミルクを飲んでいない状態ではありません。子どもの離乳の進行や完了の状況に応じて与えます。
  • 食べ方は、手づかみ食べで前歯で噛みとる練習をして、一口量を覚えます。やがてスプーン等を使うようになって、自分で食べる準備をしていきます。